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離婚の基礎知識

(8) 内縁関係で別れるときはどうしたらいいでしょうか。戸籍の届出をしている夫婦と同じように、慰謝料や財産分与は請求できるのでしょうか

(イ) 内縁は準婚的性質を有すると言われています。戸籍の届出をしていないこと以外は法律上の届出をした夫婦と同様の関係にある場合に、「内縁関係にある」ということになります。事実婚という言い方もあり、婚姻届を出さないことに積極的意義を見出している場合に用いられるようですが、戸籍の届出をしない以外は夫婦同様という点では内縁と同じです。
ですから、事実上夫婦として生活する意思が双方に必要であり、単身赴任などの場合は別として、一緒に同居生活している状態にあり、法律婚同様、2人の間には子供も生まれてくるといったこともあるでしょう。いうまでもありませんが、子供がいないと内縁にならないというわけではありません。要は、戸籍のこと以外は普通の夫婦と同様ということです。
子供が生まれると、父の戸籍と母の戸籍は別々ですので、母の戸籍に入ることになります。夫(父)としてはこの子を認知することになるのでしょう。
父が認知した子を父の戸籍に入れるには、子の氏の変更の許可という家庭裁判所での手続が必要です。
内縁関係を解消するのに、離婚のような届出などの手続は要りません。離婚は、婚姻届がなされていて、夫婦の戸籍が出きていますので、離婚の届出の手続が必要ですが、内縁はもともと戸籍の届けがなされていないため、戸籍の届出をしようにもその前提となる夫婦の戸籍がないためです。
(ロ) 内縁関係でも、事実上の夫婦のどちらかに不倫や暴力などがあると慰謝料請求は可能です。
戸籍の届出がないこと以外は夫婦ですから、お互い不倫してはならないことは戸籍の届出をした夫婦と同じです。そもそも、一緒に生活している2人が他の男性あるいは女性と性関係を持つのも自由というような関係であれば、内縁とはいえないでしょう。ですから、不倫などがある場合は、内縁であっても慰謝料請求は可能ということになります。
裁判例をみてみますと、
(a) 被告(男性)は原告(女性)と事実上の夫婦生活に入って後、他の女性と情交関係を結んだばかりでなく、同女を原告と同一建物内に居住させて原告を精神的に苦しめたなどの事実が認定されている事案で、原告からの慰謝料請求が認められた例(大阪地裁昭和51年10月19日判決)
(b) 内縁関係にあった2人のうち、女性の方が男性に「まだ出ていかないか」と言いざま、洗面器に汲んできた水をかけ、包丁を突きつけたりして実力を行使し、男性を同居していた建物から追い出したなどとされているケースで、男性は内縁を不当に破棄されたことにより少なくない精神的苦痛を受けたものとみることができるとして、女性に内縁の不当破棄を理由に慰謝料の支払いを命じた例(東京高裁昭和54年8月28日判決)
(c) 内縁関係にある男女のうち、男性が働く意欲に乏しく、女性を置き去りにしたまま有り金全部を持って横浜の実家に帰ったなどと認定されているケースで、男性が内縁を不当に破棄したのであるから女性に対する損害賠償義務(慰謝料支払義務)があるとされた例(東京高裁昭和47年12月22日判決)
などがあります。内縁を不当に破棄したような場合はいずれも慰謝料を支払わなければならないとしています。
(ハ) 内縁を解消したとき、財産分与は請求できるでしょうか。
これも内縁を婚姻関係に準ずる関係ととらえると、関係解消の際には離婚と同様2人で築き上げた財産があれば財産分与の請求はできることになります。
裁判例をみてみますと、
(a) 申立人(女性)と相手方(男性)との関係が事実上の婚姻関係、すなわち内縁と判断されるとしたうえで、内縁関係解消の場合も、協議離婚に準じ財産分与を請求できるとした例(岐阜家裁昭和57年9月14日審判)
(b) 内縁においても配偶者は法律上の婚姻におけると同様財産分与請求権を有するのであるから、財産分与の審判を申立てることができるとして、内縁当事者からの財産分与請求を認めた例(広島高裁昭和38年6月19日決定) 
(c) 内縁関係解消に伴う財産分与申立事件で、相手方所有の不動産について、売買、担保設定、占有移転その他一切の処分行為はしてはならない旨の保全処分が認められた例(東京家裁昭和48年11月27日審判)この例は、財産分与の審判前の保全処分が認められたものです。保全処分については、財産分与の(10)(ニ)財産分与を受ける見込みの自宅が処分されてしまいそうなときにはどうしたらいいでしょうかのところを参考にして下さい。
などがあります。
このように財産分与についても法律上の婚姻同様認められています。もっとも内縁当事者の一方が死亡した場合、相続権は認められていません。戸籍以外は婚姻関係に準じるとはいっても、お互いに親族になるわけでもなく、何もかも同じというわけではありませんので、内縁関係のままでいくなら、例えば、お互いに遺言書を作っておくなどの対処が必要な場合があるでしょう。