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慰謝料

(1) 離婚の慰謝料はどんな場合に請求できるでしょうか

離婚の慰謝料は、離婚に至った原因について責任のある方、あるいは責任のより大きい方から、責任のない方あるいは責任のより小さい方に対して支払われる、いわばお詫びのお金(金銭以外の財産で渡すこともできないわけではありません)です。財産分与が、責任がどちらにあるかはともかく、二人で築き上げた財産を分配することを中心としているのに対して、慰謝料は責任の有るなし、あるいは大きい小さいによって請求できるできないが決まってきます。
ですから、夫婦の一方、例えば妻が不倫をして離婚することになった場合、二人で築き上げた財産があれば、たとえそれが夫名義であっても、妻は財産分与は請求できるのに対して、慰謝料については逆に夫から請求されるということになります。もし夫の不倫が離婚の原因で、夫名義ではあるがそれが夫婦で築き上げた財産の場合、夫は妻に対して財産分与もしなければなりませんし、慰謝料も支払わなければならないことになります。
離婚の慰謝料については細かくいうと、
(イ) 離婚の原因となった、例えば不倫・暴力などの行為についての慰謝料(離婚の原因についての慰謝料)
(ロ) 離婚そのものによる慰謝料(離婚自体についての慰謝料)
があるとされています。
例えば、広島高等裁判所 平成19年4月17日判決は、夫の不貞が離婚の原因であった例です。
まず、妻が、今回の裁判に先立つ別の裁判で、夫と不倫の相手とに、不貞行為の慰謝料を請求したところ(前記の(イ))、2人が連帯して300万円を支払えという判決がなされました。そのあと、今度は妻が夫と不倫の相手とに、離婚自体の慰謝料を請求したところ(前記の(ロ))、夫は慰謝料の件は前の裁判ですんでいるのでもう一度慰謝料のことを持ち出すことはできないという主張をしました。
これに対し、広島高等裁判所は、前の裁判は(イ)の慰謝料のことなので、今回の裁判で(ロ)の慰謝料を持ち出すこと自体は可能であるという判断を示しました。
もっともこの裁判では、前の裁判のあと、妻に新たな精神的損害が生じたわけではないという理由で、結論的には300万円のほかに新たな慰謝料は認めませんでした。
このように、理屈の上では(イ)と(ロ)の慰謝料があるといわれていますが、実務的には(イ)と(ロ)とは、特にはっきりとした区別もせず一括して決められているといっていいでしょう。ですから、広島高等裁判所でのようなことが問題となるのはまれで、普通は(イ)と(ロ)とを区別せず、一体と考えていいでしょう。