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慰謝料

(3) 慰謝料の額はどれくらいでしょうか

芸能関係者などで離婚の慰謝料が何千万とか時には億単位ということを耳にしたことがあるかも知れません。そのなかには財産分与が含まれている場合もあり、また、慰謝料は双方が話し合いで決めたものですから、そのような例があってもおかしくはありません。裁判所で認められる慰謝料の額はそれほどではありません。具体的なことについては後に述べます。
慰謝料の額については、2人が話し合って決める限り、特に制限はありません。ただ、税務当局から見てあまりにも法外な金額であった場合、財産分与同様、実質的には贈与とみられるおそれはなくはないと思われますから、このあたりになると税理士さんなど専門家に相談した方が無難でしょう。
問題は、2人で話し合っても慰謝料額が決まらなかった場合で、結局裁判所の判断で決めてもらうことになります。
裁判例を見ると、有責配偶者(離婚の原因を作った配偶者)からの離婚請求で1500万円の慰謝料を認めた例(東京高裁平成元年11月22日判決)、不貞行為、悪意の遺棄をした夫に対して慰謝料として1000万円の支払いを命じた例(横浜地裁昭和55年8月1日判決)もありますが、これは例外的なものといっていいでしょう。
慰謝料の例として、妻の性生活拒否により離婚に至った場合、150万円の慰謝料が認められた例(岡山地裁津山支部平成3年3月29日判決)、妻が不貞行為をした場合、300万円の慰謝料が認められた例(東京高裁平成7年1月30日判決)、夫と同棲して離婚に至らせた女性に対する妻からの慰謝料請求について200万円を認めた例(東京高裁平成10年12月21日判決、なおこの例は不貞行為の相手方に対する請求ですが、夫も共同の不法行為者となるので、妻が夫に請求した場合も原則として額は変わらないと思われます)、などがあります。
少し古い調査ですが、東京地裁の昭和55年から平成元年までの判決について、判決301件中、慰謝料0が104件、100万円までが32件、100万円をこえて200万円までが56件、200万円をこえて300万円までが61件、300万円をこえて400万円までが8件、400万円をこえて500万円までが32件(以上合計で301件中293件)、平均すると190万円という調査結果があります。これをみますと、慰謝料は認められても、数十万円からおおむね300万円までで、500万円でほぼ頭打ちということができるでしょう。
現在の実務も、上記のところからあまり大きな変化はないと思われます。
東京家庭裁判所における人事訴訟の審理の実情という本(平成20年7月改訂版発行)では,損害賠償(慰謝料)については,認められたケースで500万円以下が94.3パーセントとされています。
このような調査結果からすると、慰謝料が何千万円とか、一億円をこえるというようなことは、裁判所が認める慰謝料(財産分与は別です)としてはないということがおわかりいただけると思います。